「業種」「業界」「職種」ってどう違うの?いまさら聞けないビジネス用語

業種、業界、職種…似ている言葉ですが、あなたはそれぞれの違いが分かりますか?

なんとなく分かっているけど、しっかり説明する自信はない…そう思っていませんか?

混乱しやすいこれらの言葉、今一度しっかり見て行きましょう。

業種とは「事業・営業の分野の種類」

業種とは、事業や営業の分野の種類のことを言います。

また、日本取引所グループのホームページには以下のように記載されています。

業種(ぎょうしゅ)
証券コード協議会が「業種別分類に関する取扱い要領」という規則を定めており、それに基づいて同協議会が個別の株式公開会社について業種を決定しています。同取扱い要領では、業種を分類する基準は、総務省が定める「日本標準産業分類」に準拠するものとされており、同協議会が各社の事業内容等から「日本標準産業分類」のどの分類に該当するか判定した後、その結果に基づいて、同協議会の「業種別分類項目」のどの分類に入るかを定めています。
「業種別分類項目」は、10の大分類の下に33の中分類があり、通常「業種」といった場合は、建設業、食料品、電気機器など、この中分類を指すことが一般的です。東京証券取引所では、同協議会の定める業種を採用し、業種別株価指数等を公表しているため、東証33業種と呼ばれることもあります。

このように定義されています。

業種には33種類が存在する

どうやら「業種別分類項目」に中分類とされている33種類を、通常は「業種」と呼ぶということが分かりました。

実際に見て行きましょう。

業種
大分類 中分類
水産・農林業 水産・農林業
鉱業 鉱業
建設業 建設業
製造業 食料品
繊維製品
パルプ・紙
化学
医薬品
石油・石炭製品
ゴム製品
ガラス・土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
機械
電気機器
輸送用機器
精密機器
その他製品
電気・ガス業 電気・ガス業
運輸・情報通信業 陸運業
海運業
空運業
倉庫・運輸関連業
情報・通信業
商業 卸売業
小売業
金融・保険業 銀行業
証券、商品先物取引業
保険業
その他金融業
不動産業 不動産業
サービス業 サービス業


基本的には、これら33種の中分類が「業種」と呼ばれるものだと認識しておけば問題ないでしょう。

ただ、場合によっては大分類で呼ばれることが一般的である業種や、上記の限りではないこともあります。

業界とは「業種が属する社会」

業界とは、業種が属する社会のことを指します。

細かく言うと、同じ仕事をしている人や企業、また、業種や商品・サービスを同じくする仲間、また、そういう人々の社会のことを意味する言葉です。

この「業界」にも分類があり、大きく8つに別けることが出来ます。

業界には8種類が存在する

以下に、その種類と役割、属する業種を見て行きましょう。

業界 役割 属する業種
メーカー モノをつくる
  • 食品/農林/水産
  • 建設/住宅/インテリア
  • 繊維/化学/薬品/化粧品
  • 鉄鋼/金属/鉱業
  • 機械/プラント
  • 電子/電気機器
  • 自動車/輸送用機器
  • 精密/医療機器
  • 印刷/事務機器関連
  • スポーツ/玩具
  • その他メーカー
小売 モノを消費者に売る
  • 百貨店/スーパー
  • コンビニ
  • 専門店
サービス・インフラ かたちのないものを売る
  • 不動産
  • 鉄道/航空/運輸/物流
  • 電力/ガス/エネルギー
  • フードサービス
  • ホテル/旅行
  • 医療/福祉
  • アミューズメント/レジャー
  • その他サービス
  • コンサルティング/調査
  • 人材サービス
  • 教育
ソフトウエア・通信 情報に付加価値をつけて売る
  • ソフトウエア
  • インターネット
  • 通信
商社 モノを動かして利益を得る
  • 総合商社
  • 専門商社
金融 お金を動かして利益を得る
  • 銀行/証券
  • クレジット
  • 信販/リース
  • その他金融
  • 生保/損保
広告・出版・マスコミ 情報を大勢の人に一度に伝達して利益を得る
  • 放送
  • 新聞
  • 出版
  • 広告
官公庁・公社・団体 国と地方公共団体の役所
  • 公社/団体
  • 官公庁

職種とは「組織内のその人の役割」

職種とは、組織内のその人の役割のことを指します。

これまで見てきた「業種」「業界」は”企業のポジション”を示す言葉だったのに対し、職種は“人のポジション”を指す言葉です。

求人情報の掲載機関によって職種名称や分類方式に違いがありますが、例えば総務省では12種類の大分類に別けられています。

総務省の職種分類一覧(大分類)

A-管理的職業従事者
B-専門的・技術的職業従事者
C-事務従事者
D-販売従事者
E-サービス職業従事者
F-保安職業従事者
G-農林漁業従事者
H-生産工程従事者
I-輸送・機械運転従事者
J-建設・採掘従事者
K-運搬・清掃・包装等従事者
L-分類不能の職業

これら大分類の中に、より細かくどのような仕事に携わるかによって分けられた職種の分類を表す中分類が存在しています。

面接の場で答える際は、この中分類で答えるのが良いでしょう。

↓タップ(クリック)で展開して閲覧できます↓

 A-管理的職業従事者の中分類
  • 管理的公務員
  • 法人・団体の役員
  • 法人・団体の管理職員
  • その他の管理的職

 B-専門的・技術的職業従事者の中分類
  • 研究者
  • 農林水産技術者
  • 製造技術者(開発)
  • 製造技術者(開発を除く)
  • 建築・土木・測量技術者
  • 情報処理・通信技術者
  • その他の技術者
  • 医師,歯科医師,獣医師,薬剤師
  • 保健師,助産師,看護師
  • 医療技術者
  • その他の保健医療従事者
  • 社会福祉専門職
  • 法務従事者
  • 経営・金融・保険専門職
  • 教員
  • 宗教家
  • 著述家,記者,編集者
  • 美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者
  • 音楽家,舞台芸術家
  • その他の専門的職

 C-事務従事者の中分類
  • 一般事務
  • 会計事務
  • 生産関連事務
  • 営業・販売事務
  • 外勤事務
  • 運輸・郵便事務
  • 事務用機器操作員

 D-販売従事者の中分類
  • 商品 販売従事者
  • 販売 類似職業従事者
  • 営業 職業従事者

 E-サービス職業従事者の中分類
  • 家庭生活支援サービス職
  • 介護サービス職
  • 保健医療サービス職
  • 生活衛生サービス職
  • 飲食物調理従事者
  • 接客・給仕職
  • 居住施設・ビル等管理人
  • その他のサービス職

 F-保安職業従事者の中分類
  • 自衛官
  • 司法警察職員
  • その他の保安職

 G-農林漁業従事者の中分類
  • 農業
  • 林業
  • 漁業

 H-生産工程従事者の中分類
  • 生産設備制御・監視従事者(金属製品)
  • 生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く)
  • 機械組立設備制御・監視従事者
  • 製品製造・加工処理従事者(金属製品)
  • 製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)
  • 機械組立従事者
  • 機械整備・修理従事者
  • 製品検査従事者(金属製品)
  • 製品検査従事者(金属製品を除く)
  • 機械検査従事者
  • 生産関連・生産類似作業従事者

 I-輸送・機械運転従事者の職業の中分類
  • 鉄道運転従事者
  • 自動車運転従事者
  • 船舶・航空機運転従事者
  • その他の輸送従事者
  • 定置・建設機械運転従事者

 J-建設・採掘従事者の中分類
  • 建設躯体工事従事者
  • 建設従事者(建設躯体工事従事者を除く)
  • 電気工事従事者
  • 土木作業従事者
  • 採掘従事者

 K-運搬・清掃・包装等従事者の中分類
  • 運搬従事者
  • 清掃従事者
  • 包装従事者
  • その他の運搬・清掃・包装等従事者

 L-分類不能の職業の中分類
  • 分類不能の職業

まとめ

「業種」「業界」「職種」の違いを見てきました。

  • 業種=33種類に分類される分野
  • 業界=8種類に分類される社会
  • 職種=組織内での人の役割

ということが分かったと思います。

人から「業種は?」「職種は?」と尋ねられたとき、困らないよう覚えておくと良いでしょう。